「2019シーズンの決意」濱中大選手インタビュー

2018シーズンは東北リーグ1部初の優勝も、惜しくもJFL昇格まで届かなかったブランデュー弘前。悲願のJFL昇格に向けた2019シーズンを前に、キャプテンの濱中大選手にインタビュー。これまでの軌跡と2019シーズンについてお話をうかがいました。
※本文敬称略

 


濱中 大(はまなか だい)

1990年7月22日生まれ、青森県弘前市出身。リベロ津軽SCを経てブランデュー弘前FC設立時よりチームに加わる。2018シーズンよりブランデュー弘前FCのキャプテンとしてチームを牽引。

 

 

初めての地域CL、みんながみんなのために走った


 

−2018シーズンは監督が代わり、初めての東北リーグ優勝に「全国地域サッカーチャンピオンズリーグ」(以下:地域CL)の出場と、トピックスが多い1年でした。振り返ってみていかがですか?

 

濱中選手:充実した1年でしたね。新しい監督になって、環境がガラッと変わって、やることも変わって。リーグ戦開幕前のNHK杯ではヴァンラーレ八戸に勝利して、波に乗ることもできましたし。

 

−日々の練習やプレシーズンマッチ、NHK杯などでチームとして手応えはあったのでしょうか

 

濱中選手:正直なところ、リーグの優勝と地域CLの出場については早い段階で取れるという手応えはありました。でも地域CLは未知数だし、普段の練習から手を抜かないでコツコツやっていくしかないなと。もちろんシーズン中は不安もあったし、勝ちを重ね続けることって本当に難しくて、日々の練習の積み重ねがいかに大事かというのを実感しました。これはサッカーだけではなく、すべてにおいて言えることだと思いますが。

 

−そして掴んだ初めての地域CL。実際に戦ってみて手応えはいかがでしたか

 

濱中選手:やっぱりリーグ戦とは全然違いましたね。それはフィジカルの部分だったり、ボールを蹴る・止めるの技術だったり、全ての面で。でもブランデュー含めどのチームも力は拮抗していたと思うし、その中で走り勝てたことは、1年間通してやってきたことが報われたのかなと。

 

−惜しくも決勝トーナメント進出を逃したとき、チームとしてどんな雰囲気だったのでしょう。

 

濱中選手:もちろんJFLに昇格できなかったことは残念なことですが、悲壮感よりは充実感がありました。みんながみんなのために走っていたと思うし、最後の試合では5点を取って勝つことができた。サッカーは上手い下手ではなく、90分で勝ち負けが決まるスポーツ。気持ちの面で負けずに、地域CLで2勝できたことは自信になりました。正直2勝したのに決勝トーナメントに上がれないのか、という部分もあります(笑)。でもその狭き門を通らないとJFLには上がれないし、来シーズンまた戻って来れるように胸を張って帰ろうと。

 

 

 

街の期待を背負い、「身が引き締まる思い」


 

−少し話は変わりますが、濱中選手はブランデュー弘前に設立時より在籍している唯一の選手ですよね。どういった経緯でチームに加入したのでしょう。

 

濱中選手:前身のリベロ津軽スポーツクラブで小学4年生の時からサッカーをやっていましたので、結果としてはそのままブランデューに加入したことになります。僕自身Jリーガーになりたいという夢はありましたが、まぁなれなくて。でもサッカーがやりたいという、諦めの悪いサッカー小僧でした。高校を卒業するときには大学進学も考えていましたが、成績も足りなくて「いよいよやばいな」と思ったときに黒部理事長に出会い、サッカーしながら仕事ができる環境を与えてくれました。

 

−ブランデュー弘前は、スポーツを通じてホームタウンにおける『ひとづくり』と『まちづくり』を掲げています。長年このプロジェクトに携わっている濱中選手から見て、この活動が地域に根付いてきたという実感はありますか。

 

濱中選手:うーん。地域の人たちの応援する声は、普段の生活の中でも感じることがあります。これは聞いた話ですけど、ある床屋さんにブランデューのポスターが貼ってあって、一人の少年がずっと見ていたらしいんです。お店の人が「どうしたの」と言うと、「このポスターがほしい」って。こういうことは昔はなかったと思うし、認知度というか、だんだん広まってきているという実感はあります。

理事長もしかり、監督やコーチ、スタッフ、弘前の熱いサポーターがいるからブランデューは活動できている。街の人の期待を背負ってやっているので、身が引き締まる想いですね。

 

 

 

走るチーム、キャプテンとしてやり抜かせる


 

−今シーズンは新加入選手も多く、また1からのチーム作りとなりましたが、キャプテンとして何か心がけていることはありますか?

 

濱中選手:特段キャプテンとして何かしている、というのはあまりないと思います。まだチームに合流したばかりの選手もいますが、分け隔てなくコミュニケーションを取ることが一番のことかなと。まぁいつも通り、チームメイトとは普通に話してます。他愛もない話ばかりですよ(笑)。おとなしい選手も多いので、どんき(どれだけ)相手の特徴や個性を引き出してあげられるかは気をつけてるかな。

 

−今も津軽弁が出ましたが、選手とのコミュニケーションも津軽弁?

 

濱中選手:もちろん。「ダイさん何言ってるかわからない」って言われます(笑)。でも津軽で1年過ごすわけですし、標準語ばっかり話してもね。仕事していればもっと津軽弁を話す人もいるし、必要なことだと思います。極端な話、外国に来たと思えばいいんじゃないんですかね(笑)。

 

−日々厳しいトレーニングを新加入選手もこなしていると思います。練習中の様子はどうですか?

 

濱中選手:走るメニューが多いので、最初は戸惑いもあると思います。全国探してもこんなに走るチームはなかなかないと思うし。でも、サッカーの基本って走らないといけないんですよね。走らなければ、アスリートがアスリートじゃなくなる。

僕は弘前から出たことない田舎っぺだから、スッと入ってきましたけど、「なんでこんなに走るんだ」って思う選手もいるかもしれない。ただ思うのは、こんな田舎のクラブでも、活躍して結果を出せば次のステージにいけるし、個人としてもステップアップができる。だからなおさら手を抜かないでやりぬく、やり抜かせることがキャプテンとしての宿命なのかなと思っています。

 

 

地域CLへの再挑戦、JFL昇格へ


 

−いよいよリーグ戦が始まります。今シーズンの意気込みをお願いします。

 

濱中選手:リーグ戦では色んなチームが出てきて、どこにもチャンスがあると思います。その中でも地域CLには絶対に出たいし、JFLに上がることが一番の目標。タフな1年をのりきれるだけのトレーニングをしっかり積み重ねればいい結果をつかめると思いますので、日々の練習からしっかりやりたいと思います。

 

−サポーターにむけてメッセージをお願いします。

 

濱中選手:先ほども言ったように、今シーズンは本当にタフな戦いになります。皆さんの応援が動かない足を動かしてくれますし、辛いときでもあと一歩踏み出せるので、熱い声援、熱い応援をよろしくお願いします。

 

−サポーターの応援歌(チャント)も力になりますよね。

 

濱中選手:はい、もちろん。「俺たちが見たいのは、弘前のゴールだけ」のチャントが好きですね(笑)。

 

−ありがとうございました。

 

 


取材中に変顔のリクエスト。お茶目な一面もあります(笑)。